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PEACH JOHN
(ピーチ・ジョン)
俺の名前は、袋田真(ふくろだ まこと)。少し前までは公務員をしていたんだが、今は訳あってトレジャーハンターっていうギャグみたいな名前の販売員をしてるんだ。公務員を辞めた理由?それは、また追々話すぜ。ちょっとお客が来たからよ。
『いらっしゃいませぇぇえ!リサイクル用品なら何でも揃うパイレーツ お茶の水店へようこそぉお!』ウチは体育会系で挨拶が命なんだ。 ちなみにパイレーツってのはウチの店名ね。
『あの、何でも買い取り大歓迎という看板を見たんですが本当に何でも買ってくれるんですか?』
『もちろんでございます。綿棒から飛行機まで何でも買い取らせていただきます。綿棒は言い過ぎかな、へへ』この仕事は丁寧ながらもスパイシーなギャグでお客の警戒心を解くのが大切。この女性客の緊張もこれで一発だ。
『じゃあ、袋も大丈夫ね。これ買い取って下さい。』
『え、袋ですか?』
と我ながら間の抜けたことを聞き返してしまった。すぐに気を取り直して
『も、もちろんですとも。お売りいただける商品を見せて頂けませんか?』
不意をつかれたとはいえハンター歴2年の俺に先制攻撃とは恐れ入る。これだから戦場(せっきゃく)はこわい。女性はもぞもぞと大きめのトートからピンク×ブラックの紙袋を取り出した。一見してショッパーだと分かるルックスに「PEACH JOHN」の文字。あの人気ランジェリーブランド、こいつを売るとは何か訳ありだな。よし。
『大変不躾ですが、お売りになろうと思った理由を聞かせて頂けませんか?』
『私、付き合ったばかりの人がいるんです。その人のために下着を買ったんですけど、でも、この袋を持っているときっと俺のために買ったんだなって思われてしまうようで。』
うつむきながら女性客は打ち明けてくれたが、何かしっくりこない。
『そう思われてなにか不都合でもあるんですか?』
『い、いえ。あのー。』
『自分のためにオシャレになろうとしてるってわかったらみんなうれしいですよ。』
俺は、自分の思っていることを素直に言ってみた。すると女性は意を決したように
『じ、じつは前カレのために買ったものなんです!すぐに別れてしまって、それからずっと部屋に置いておいたんですけど今の彼と出会って気持ちを切り替えようと思って売りに来たんです。』
すげぇ飛び道具が来たな、内心俺は焦った。ひるんじゃダメだ。いくぞ。
『そうですか......私も少ないですがそういう経験があります。昔、恋人のためにネックレスを買ったんです。でも振られてしまってどうしようか迷いました。でも気づいたんです、このネックレスは私自身の足跡になるって。形あるものだけが思い出というわけではありません。でも、もし思い出を形に残せるならみんな残したいんじゃないかなって。それが辛い思い出だとしても。私はそう思いますよ。』
決まった、会心の一撃だ。FFでいえばクリティカルヒット。
『でも、今の彼になんて言えば。』
女性の心が揺らいでいるのが俺にもわかるくらいに細い声だ。
『大丈夫です。きっと彼は昔のあなたじゃなくて今のあなたが好きなんです。ちゃんと本当の事を言えば、いつかこの袋を見て笑える日がきますよ!』
『そ、そうね!やっぱり袋売るのやめます!なんか相談に乗ってもらっちゃってすみません。』
『いえ、お客様の不安を買い取らせて頂いたので十分です!ご来店ありがとうございましたぁぁあ!』
俺がそういって頭を下げているうちに女性客は、すっきりした歩調で店から飛び出していった。もう近くにいないことを確認すると、じわっと冷や汗が吹き出した。
危なかった。まさか袋を買ったなんていったら本部からどんな人事異動を命じられるか。前に営業文句の綿棒を真に受けたお客から、大量に綿棒を買い取った同僚が八戸に飛ばされたからな。いや、その前にボーナス査定だ。ウチは「ワンフォーオール。オールフォーオール」っていう無茶苦茶な熱血指導があるからな。やっぱりこの仕事は気を抜けない。
次はどんなお宝に出会えるか。胸が高鳴る。『すいませーん!買い取りいいですかー?』
違うお客が俺を呼んでる、さて行くか。
『よろこんでぇええぇ!』
- shopper data
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- 縦:200mm
- 横:260mm
- 襠:70mm
- 持ち手長さ:260mm
- 持ち手タイプ:布
- 素材:紙
- カテゴリー:マンネリ気味のあなたへ




























































