アパレルワークス ⇒ BETSEY JOHNSON(ベッツィジョンソン)【アパレル総研】
 
 

アパレル総研 袋部署 shopper post

実用性と主張性を兼ね備え、ファッショニスタの定番アイテムとして定着したショッパー(=ショップ袋)。ブランドの数だけ袋がある。世の中に数あるショッパーをさまざまな角度から検証しています

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BETSEY JOHNSON
(ベッツィジョンソン)

『ごめんくださいー。これ査定してもらえます?』
『いらっしゃいませ、ご査定のご要望ですね有り難うございます。本日は袋田が担当させていただきます。お客様、こちらはどこで購入されたものでしょうか?』

『本屋よ』

ふぅ、先日始まったと思った2011年もすでに2月。こうやって年を重ねていくんだなぁ、って感慨深げに語る時間は無く今は査定中。今日のお客様が持ってきたのは、普通のバッグだけどバッグにしてはすこし安っぽい。そう、実はこのバッグは雑誌の付録。最近、雑誌に付いている付録のクオリティが上がってきてオークションで高値で取引される付録も結構あって、ウチに査定に持ってこられるお客様が多いんだよなぁ。

『本屋でしょうか?ということは、雑誌に付いている付録とか?』
『えぇ、そうなの。最近の付録はしっかりできてるのね。普通のバッグと見分けがつかないわ』
『そうですね、クオリティ高いですよね。でもウチではこちらを買い取る事ができないんですよ』
『え?なぜ? 一流ブランドの付録よ。』
『付録は買い取ってはいけないという店の方針があるんですよ。大変申し訳ありません』

そう、うちでは付録は買い取ってはいけないという方針があるんだ。理由は簡単で、あくまでも付録であって商品ではないという上層部の判断なんだ。まぁ、言われてみれば確かに通常販売されているアイテムに比べたら見劣りする感じだしな。

『何言ってるのよ・・・付録と言ってもちゃんとしたバッグよ!ちゃんと査定して! でなければ店長呼んでよ!』

さっきまで上品だったお客様が急に語気を鋭くして、前のめりで威嚇し始めた。せわしなく髪をかきあげるのでシャネルのイヤリングが激しく揺れる。

困ったなあ、今流行のモンスタークレーマーだ。ここは、慎重に言葉を選んで刺激しないようにしなきゃ。

『えー、わかりました。では査定させて頂きますので少しお待ち下さい』
『あら、できるんじゃない。宜しく』

うーん、困った。付録だけじゃ買い取れないし、買い取れないって言ったらクレームの嵐だし。どうしようか。とりあえずいつもの査定をしながら考えよう。

『こちらの付録は人気ブランドのSASABYですね。形も定番サイズの横長トートだ。サイズは、横45㎝に縦は30㎝くらいでこれ系の黄金比率。付録と言えどなかなか考え抜かれてますね』
『そうでしょう?だから私持ってきたんじゃない』
『素材はー、コットンですね。持ち手はコットンにナイロンテープを施して耐久性をプラスしてますね。内側は収納もちゃんとあって付録のバッグでもかなりしっかり作っている部類になりますね』

俺は言葉を続けながらどうしようか考えあぐねていた。査定をすればするほどお客様の買い取り期待値が高くなっていくからだ。何か突破口はないか。そう焦っていたときパッとひらめいた。

『そういえば、お客様。他にも売りたいものなどあるでしょうか?』
『売りたいもの? 特に無いわよ』
中指にはめた指輪を触りながら、お客様は関心がなさそうに言った。 ファッションにこだわりがあるのか、着ている服も超一流のものに見える。

『いえ、なんでもいいんです。そのお持ちになっている紙袋でも』
『え?紙袋も買い取ってもらえるの?』
『えぇ、当社は現在袋買い取り強化中なんです』
『そうなの?じゃあ、これもお願い』

そう言って、ピンクの紙袋を渡された。

『これは、BETSEY JOHNSON(ベッツィジョンソン)ですね』
『へー、そう読むのね。何かのダイイングメッセージかと思ったわ』
『ははは。 BETSEY JOHNSONはニューヨークで人気のセレブブランドなんですよ。いち早くイラストをアイテム取り入れたりして長年人気を継続させているブランドなんです。ちなみに70年代前半にはもう有名になっていて、40年近く第一線を走り続けているブランドなんですよ』
『私よりも年上じゃない!』
『そうですね、お客様のように若くはなく老舗に入りますかね』
お客さんの反応も良くなってきたところで、婉曲的に客を褒める。ハントの鉄則だ。

『うん、状態も悪くない。袋の角もしっかり立っている』
『で、いくらになりそうなのよ?』
『そうですね、付録のバッグと合わせて・・・』

俺は、電卓を叩きながら値段が表示された液晶画面を見せた。

『 あら、意外に高値なのね。 でももうちょっと、どうにかならない?』
『うーん、ではこれでどうでしょうか?』

さらに少しだけイロをつけた金額を提示した。

『じゃあ、これでお願い。なんか悪いわね、無理させちゃって』
『いえ、商品を買い取らせて頂けるだけ有り難いです』
『かわいいこと言うじゃない。私、あなたみたいなの結構好きよ』
『い、いえ。』

ドキッとした、まさかいきなりそんな事言われるとは思わなかった。
あ、ありがとうございます。ぎこちない感じでそう言って俺は、代金と買い取り証明書を渡した。すると、

『これ、私の携帯番号。あなたの事気に入ったわ、良かったら電話してね。デートでもしましょ』
そう言って、名刺を俺に渡して店を出て行った。俺は慌てて挨拶をした。

『ありがとうございまぁぁあぁあぁぁす!!!』

少しの間、ボーっとしてたがすぐに次の仕事に取りかからないといけない。
それにしても、さっきは戦争だったな。でも、意外に優しそうな人だった。服装もゴージャスな感じで、気品すら漂う感じ。でもね、でもね......なんだよなぁ。

そう言って、俺はもらった名刺に視線を落とす。

「株式会社 DandyBoy 代表取締役 斉藤 和夫」

どうみても男だよね......。うっすら見えていたヒゲも疑問から確信に変わる。
やっぱりファッショニスタは奥が深いぜ!

shopper data
  • 縦:300mm
  • 横:405mm
  • 襠:155mm
  • 持ち手長さ:500mm
  • 持ち手タイプ:布
  • 素材:紙
  • カテゴリー:新宿2丁目